さぬきだ歯科医院 佐貫田 尚亮 院長 TAKAAKI SANUKIDA
大学卒業後、幅広い症例に携わってスキルを磨く。1997年、「青葉台駅」そばに開業。
大学卒業後、幅広い症例に携わってスキルを磨く。1997年、「青葉台駅」そばに開業。
学年を代表して絵を描いたり、モニュメントを作ってコンテストに出品をしたりと、私は元来手先が器用だったのです。「将来は手先を動かして人のためになることをしなさい」と学校でも家でも言われ、以来、その仕事とは何なのかということをずっと考えていたのですね。そんな中、姉が歯科大学に入りました。それを受けて私は、自分の特性が生かせるのではないかと考え、姉の後を追うようにこの道へ入ったということなのです。「僕のほうが向いてるんじゃないの?」と思ったのですが、これを口にすると、姉には怒られたものです(苦笑)。
この地(東急田園都市線・青葉台駅から徒歩7分)で『さぬきだ歯科医院』を開院したのは1997年のこと。青葉区の方々は、総じて知的好奇心が高いように感じています。それまで様々な土地で診療をおこなってきたのですが、詳しく説明しようとすると、「いいから、いいから」と言われてしまうことも少なくありませんでした(笑)。その経験から申しますと、この地域の方々は健康に関する意識が非常に高いですし、だからこそ、予防歯科に力を入れた診療が展開出来ていると感じています。
歯科の病気は、特殊なものと言うことが出来ます。多くの病気、たとえばインフルエンザであれば、これは外から特定のウィルスが身体に入ってきて発症するわけで、これを外因感染と言います。歯科の場合、菌は常にお口の中にいるわけであり、身体や心のバランスを崩した時に病気を発症するのです。そう考えれば、虫歯1本を治すことも確かに大事なのですが、それにもまして虫歯に至るストーリーを把握することが肝心になってきます。その子は何を食べ、何を飲み、何時に寝ているのか。それから、心のバランスと言いましたが、悩みによって病気が引き起こされることもあります。あるお子さんは、虫歯もないのに歯の神経だけが死んでしまい、膿がたまっていたということがありました。こうなりますともはや、食べ物、飲み物に因を求めることは出来ず、精神的なものということになってきます。
当院では、予防歯科というより、患者さんの健康で幸せな人生をお手伝いするというコンセプトを掲げています。その結果、ついついお話が長くなってしまい、ご迷惑をおかけすることも多々あるのですがね(苦笑)。
「EPIOS」とは、うがい水や処置に用いる水を中性の殺菌水に変えてくれる装置です。この殺菌水はほとんどの細菌やウィルスを殺菌し不活化させえるもので、お口をうがいすることも治療の1つになりえます。歯内療法、いわゆる根の治療がありますよね。この治療の要諦は、感染症をいかにコントロールするかにあります。ラバーダムを用いて細菌の混入を防ぎ、殺菌水を使用して神経をとっていく。処置そのものの精度も確かに大事ですが、殺菌水を有効に用いることで、感染のコントロールがより容易になってくるとも言えるのです。
アルコールやヨードを用いた場合、細胞毒といい、ばい菌を死滅させるのと同時に、身体にとって必要な細胞も死滅させてしまいます。患者さんの細胞や組織を傷めてしまうのは非常に心苦しいことでもあり、その意味に於いても殺菌水を用いることは非常に有益だと考えているのです。
矯正治療を見た目をきれいにするもの、とお思いの方は多いかもしれません。しかし、歯の咬み合わせというものは、皆さんが思っておられる以上に人間の機能にとって非常に重要なものなのです。たとえば、右の咬み合わせが削れているとすると、自然に身体は右側に重心を置くようになり、結果、右の膝が痛むということが起きることがあります。私は入れ歯を作る際に患者さんの靴を見て、「どちらが減っているか」ということを観察したりもするのですが、それくらい如実に身体に影響を与えるものなんですね。矯正治療は私の家内が担当し、外科的処置をともなうようなよほどの難症例でない限り、当院でおこなっています。こちらの患者さんは、「他所の病院に行きたくない」という方が非常に多く、出来る限りのことをこちらでおこなわせていただく方針をとっているのです。
私たちがここでおこなおうとしているのは、言わば、文化の形成です。治療は、この場で完結するわけではありません。突き詰めていけば、2度と同じことが繰り返されないようにしていくことが重要なのであり、いつの時代も予防が最良の医療ということが言えます。今食べているもの、今飲んでいるもの、普段のケアが未来の自分を作っていく。さらに大事なことは、その感覚を次代に受け継いでいってもらうことなのです。幸い、平成の子ども達は虫歯が少ないので、歯医者さんに対して抵抗のない子がほとんどです。それをさらに進めていけば、何もなくとも医療機関を訪れ、健診やケアを心掛けてくれるようになるでしょう。そして、その子達が子を持つようになれば、きっと彼らは自分の子供を無病のうちに医療機関を受診させるようになるのではないでしょうか。
物事は、終わった時に真価が問われてきます。私もいずれはこの手で治療をおこなうことは出来なくなるでしょう。しかし、私が関わり、育てた予防や人間本来の幸せというものへの概念は、世代を越えて家々に残っていくのだと信じています。予防そのものをこの街の文化とすること。それが私たちの志なのです。
※上記記事は2015.4に取材したものです。
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