はぎわら動物病院 萩原 大輔 院長 DAISUKE HAGIWARA
麻布大学卒業。千葉、神奈川の一般開業病院、二次診療施設に勤務。2023年に『はぎわら動物病院』を開院(東急田園都市線「藤が丘駅」より徒歩4分)。日本獣医循環器学会 動物循環器認定医。
麻布大学卒業。千葉、神奈川の一般開業病院、二次診療施設に勤務。2023年に『はぎわら動物病院』を開院(東急田園都市線「藤が丘駅」より徒歩4分)。日本獣医循環器学会 動物循環器認定医。
その子が家族になったのは、私が中学3年生のときでした。それまでワンちゃんを飼ったことがなかったのですけども、その日以来、動物がいる生活が日常になったのです。それまでも科学や生物に興味を持っていたのですが、ワンちゃんがいると病院のお世話になることもありますし、いつの間にか獣医師を目指すようになっていきました。その子が亡くなったのは、獣医師になって4、5年目の頃。こんなふうに思ってはいけないのかもしれないですけど、あの子がこの道に導いてくれたのかもしれないと感じています。
大学卒業後は千葉、神奈川の病院に勤務し、並行して麻布大学循環器科で研修を受け、一般診療はもとより、高度医療や夜間救急にも携わってきました。そして2023年1月、私にとって地元である藤が丘に『はぎわら動物病院』を開院したのです。
ワンちゃんネコちゃんが健康で元気で、飼い主さんと1日でも長く笑顔でいられるようサポートしていきたいと思っています。重い病気を患ってしまうと、毎日病院に通わなきゃいけない、毎日投薬をしなくてはいけないなど、飼い主さんやワンちゃんネコちゃんに掛かる負担は大きくなってきます。治療によって病気がコントロールできていたとしても、治療が負担に感じてしまうと、お互いに幸せな状態とは言えなくなると思うのです。ですから、飼い主さんが笑顔で、ワンちゃんネコちゃんが苦しさや痛みを感じない期間をなるべく長くしてあげたいのです。そのために必要になってくるのが、人間でいう予防医学、例えば健康診断です。表に出てこない早い段階で病気を見つけ、適切に関与していくことで、1日でも幸せな時間を長くしてあげられるようにと考えています。
循環器の疾患はいつの時代も多いものです。ワンちゃんで言えば、あらゆる病気の10%を占めると言われ、死亡原因のトップ3に必ず入ってきます。循環器の病気の特徴は、目に見える症状が出てこないことが多く、症状が出てきた段階では命に関わる重篤な状態で見つかることが多いのです。循環器の疾患にも様々な病気がありますけども、症状が目に見えてこない期間が非常に長いものが多いのも特徴で、そうした病気を早期に発見し、適切なケアをしてあげることが大切です。仮に病気が見つかっても、治療の必要がない、経過観察で大丈夫な期間があります。一定の範囲を超えると症状が出てきてしまうのですが、お薬によって症状が出てくるまでの期間を引き延ばすことも十分に可能です。特にワンちゃんの場合、発症するまでの時期を延ばしてくれるお薬があり、ここ10年ほどでエビデンスも揃ってきています。早期に発見し、早期に適切に介入することで、健康で元気な期間を長くすることができるんですね。
開業医はあらゆる分野を広く診ていく必要があり、専門性の高い治療が求められる場合、その道をつけて差し上げることも重要な役割となります。例えば整形外科の手術については、専用の器具や設備が必要となりますので、信頼できる先生の元へご紹介をさせていただいています。ここで重要なのは、ただ紹介するだけでは不十分ということです。当院で診ていけるものなのか、それとも本当に高度な医療が必要なのか、見立てをつけた上で先の道をご案内することが大切です。そもそも飼い主さんは不安を感じて来院されているわけですから、払拭できる不安を払拭したのち、しかるべき施設へとご紹介することが求められます。私自身も飼い主さんと一緒にその病気と向き合っていくわけですので、残る不安を解消するために紹介先の病院を訪ねてみてくださいとお伝えしています。
当院ではトリミングもおこなっています。最近は高齢の子に対しても見てくださるサロンが増えてきていますが、それでも何かしらの持病があって対応が難しいケースもありますので、そうした子も受け入れています。トリミング中は、体表面の違和感や怪我、体調不良などに気付きやすいという面もあります。病院併設のトリミングサロンの場合、そうしたことがあればすぐさま診察をし、治療につなげていける利点もあります。
多くのみなさんは、「病院は病気になって行くところ」と思われているようです。ですが、私としては、元気な状態の時も来ていただきたいんですね。トリミングなどで月に1回訪れてもらい、体重を測り、体を触り、この1ヶ月の様子を聞くだけでも1つの予防医療となります。ワンちゃんもネコちゃんも、病気の時だけ病院に来ると、注射をされたり検査をされたりと、「嫌なことをされる場所」と思ってしまうでしょう。頻繁に遊びに来てくれて、撫でる回数が増えれば増えるほど、嫌いな場所にはならないと思うんですね。散歩がてら、おやつを食べに立ち寄っていただくのも大歓迎です。食事の相談もそうですし、例えば、服を着せたほうがいいかどうか、といったことも気軽にお聞きいただければと思います。なんであっても話していただけるような、間口の広い動物病院を目指していきます。
※上記記事は2023年12月に取材したものです。
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