石田ようこ 犬と猫の歯科クリニック 石田 陽子 院長 YOKO ISHIDA
麻布大学獣医学部獣医学科卒業。2004年から『ぬのかわ犬猫病院』に在籍し、分院長を務める。2019年に『石田ようこ 犬と猫の歯科クリニック』を開院(東急田園都市線「鷺沼駅」より徒歩9分)。
麻布大学獣医学部獣医学科卒業。2004年から『ぬのかわ犬猫病院』に在籍し、分院長を務める。2019年に『石田ようこ 犬と猫の歯科クリニック』を開院(東急田園都市線「鷺沼駅」より徒歩9分)。
小さい頃、増井光子さんといって、上野動物園の園長さんをされていた方が出演されていた動物番組を夢中になって観ていました。動物に親しみを感じるようになったのは、おそらくその番組が契機だったように思います。同時に、「女の人でこんな仕事をしてる人がいるんだ…」という感慨を抱き、そのまま獣医師の道を志すようになったのです。大学卒業後は鎌倉市の動物病院に勤務し、その後、結婚して2人の子供を育てている間は研究職に。子育てがようやく落ち着いてからは、『ぬのかわ犬猫病院』に長くお世話になることになりました。そちらの病院は大規模なもので、各専門分野におけるスペシャリストが多数在籍していました。私はもともと細かい作業が好きでしたから、外科医として目の手術やお口の中の手術を主に担当するようになっていきました。その中で歯科は特に症例数も多かったことから、重点的に勉強するようになっていったんですね。
この春に『石田ようこ 犬と猫の歯科クリニック』は開院いたしました。歯科だけを診るのではなく、広く一般的な疾患を拝見させていただくのと並行して、これまで多く携わってきた経験を生かし、歯の重要性についても発信していきたいと思っています。
動物たちになるべくストレスをかけない、「優しい診療」を心がけていきたいですね。動物にとって嫌なことも時にはせざるを得ませんから、彼らがある程度緊張してしまうのは仕方のないことかもしれません。でも、そればかりではなく、良いこともあれば、完全に拒否をするような事態は避けられると思うのです。ここでは、用事がなくても立ち寄っていただけるようお願いしています。お散歩の途中で病院に寄り、おやつを食べて良い気分で帰ってもらう。“大丈夫”が積み重なっていくことで、動物病院は彼らにとって嫌な場所ではなくなっていくのです。それから、動物に触る時にも、彼らを不快にさせない“触り方”というものがあります。これは、ドッグトレーニングの技術と行動学の知識がないことには難しいことです。私が行動学に興味を持ち始めたのは、災害救助犬のトレーナーさんとの出会いでした。その方が連れてくるわんちゃんは、みんなびっくりするくらい良い子だったんですね。その秘密を探ろうと、この分野に傾倒しだしたということなのです。
当院では通常の診療と並行し、行動学に基づいたしつけ相談も承っています。またその技術が、今度は歯みがき指導にもつながっていくのです。
大抵の子は、歯みがきを嫌がります。しかし、行動学に則った基本を踏まえることで、彼らは応じてくれるようになります。もちろん、その子その子で癖はありますが、引き出しをたくさん持つことで対処が可能になります。すでに多くの方に歯みがき教室を体験していただいています。どの子も必ずできるようになりますので、お悩みの方はぜひご相談いただきたいですね。
犬については、3歳で8割以上が歯周病にかかっているとされます。歯周病が全身の疾患に影響を及ぼすことは人の医療でもフューチャーされていますが、動物にとってもそれは同様で、心臓はもちろん、腎臓や肝臓や肺、関節など、全身の様々な臓器に影響をもたらすという報告があがっています。逆に言うと、お口がきれいであれば、それだけ健康でいられる可能性が高くなるということでもあるのです。
ここでは、スケーリングなどの歯周病の治療も含め、様々な歯科疾患に対応しています。神経を抜いて、詰め物をしたり、被せ物をする、歯列矯正など、人間の歯科と同様な処置もおこなっていきます。
動物の場合、スケーリングは全身麻酔でおこなうことになります。無麻酔で処置をされるところもありますけども、私としてはお勧めできません。なぜなら、無麻酔下での処置は、動物に多大なストレスをかけてしまうからです。意味もわからないのに押さえ込まれて痛いことをされるのは、彼らにとって恐怖以外の何物でもなく、最悪の場合、次回から診療を拒否されてしまう可能性もあるでしょう。そして何より、無麻酔下では“動いて”しまいますから、しっかりとした処置は不可能です。特に歯周ポケット内や歯の内側については、まったくアプローチができません。一箇所、二箇所であれば可能なケースもありますが、それは決して根本的な治療にならないことは確かです。
歯の状態を診て、スケーリング等の処置をしてからお口のケアは始まっていきますが、最も重要なのは毎日の歯みがきです。本当に自分の歯をみがくように、わんちゃん、猫ちゃんの歯をみがいてあげていただきたいですね。
当院では一般診療の延長線上にあるものとして、「シニア外来」を設けています。年齢が上になるにつれ、抱えている病気が1つではなく、全身のあらゆる場所に及ぶことは決して珍しいことではありません。シニア外来では、飼い主さんがどういう風に動物と過ごしたいかをお聞きし、それによって今後の治療方針を検討していくものになります。すでに病気が複数ある場合、何を優先して治療をすべきなのか。あるいは認知症等で夜泣きが出てくるようなら、どういう対処をしていくか。夜泣きでお困りの場合、お薬で眠れるようにする対応もありますし、行動学を応用し、少しでも改善を図っていく方法も考えられます。それらすべての選択肢を飼い主さんに提示し、将来に備え、動物と飼い主さんにとって最も良いであろうことを一緒に探っていくのがシニア外来であり、当クリニックの考え方でもあるのです。
すでにお口が悪い状態では、いくらこちらが歯みがきを働きかけても、動物は痛みで受け入れることができません。歯みがきができる状態にあるか、一度拝見させてください。確認した上で、ステップを踏んで歯みがきができるようにしていきましょう。私の目標でもあるのですが、全員の犬猫さんのお口をきれいにしたいと思っています(笑)。『石田ようこ 犬と猫の歯科クリニック』では、歯科を含めた病気の予防・治療だけではなく、日々の暮らし方などのアドバイスも承っています。どうぞ気軽に足を向けていただき、なんでもご相談いただきたいですね。
※上記記事は2019年4月に取材したものです。
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